2018年8月23日木曜日

「君の膵臓をたべたい」日本人は薄幸な美少女が大好きだなぁ・・・

 2017年公開の日本映画 原作は「住野よる」による同名小説

 最近の原作付き邦画では、もっとも成功した作品のようで、先日はTVの地上波でも放送され話題になった。
 僕は映画公開された時に、小説の方を先に読んで、映画自体は半年後にDVDで鑑賞することになった。なので、どうしても原作小説と映画をくらべてしまう。
 脚本が原作と異なる点が出てしまうのは時間の制約上、仕方がないのだろう。また、有名女優や人気俳優を起用しなければならないのも、興行上仕方がないのかもしれないが・・・。個人的には、それらが、この作品を残念なものにしているように思えてならない。
 キャスティングで、ヒロインを努めた 浜辺美波 は素晴らしい。原作の中の少女そのものであるが、こんな美少女が「クラスで三番目にかわいい」かったら、そのクラスは大変な美少女の集まりということになる。
 今までだったら、広瀬すず や 土屋太鳳 がつとめていた役を、一つ下の世代の彼女が、見事に(実に艶っぽく)演じている。男子校だった自分には、高校時代にこのような少女と出会うチャンスは皆無だっただけに、彼女の愛らしさを見られるだけでも十分評価できる映画だ。
 しかし、やっぱり日本人(僕も含めて)悲恋物に弱いのだなぁ・・・。

      浜辺美波の今後が楽しみ 的評価・・・・・☆☆☆☆

2018年8月10日金曜日

「遊星からの物体X」CGじゃない特撮によるリアリティ!エイリアンに匹敵する恐ろしい異星人の正体をその目で観ろ!

 1982年のアメリカ映画。1951年に製作された「遊星よりの物体X」のリメイクという触れ込みだが、SFX(特撮)のクォリティの高さにより、まるっきり別物になってしまった。
 映画の舞台は、1982年の南極大陸。アメリカ人の南極観測隊の14名は、ある日、ノルウェーの観測隊のヘリコプターが、一匹の犬を追ってやってくるのに出くわす。ノルウェーの観測隊員は犬を執拗に追いかけ、殺そうとしていた。犬はアメリカの南極観測基地に逃げ込んでしまう。それを追って、ノルウェーの観測隊員は犬に銃を向け、誤ってアメリカ人を傷つけたため、アメリカの観測隊員はノルウェーの隊員を銃で撃ち殺してしまう。「なぜ、彼らは犬を殺そうとしたのだ?」驚き、訝るアメリカの観測隊員たち・・・。南極大陸では、犬は大切な仲間であった。しかし、ノルウェー人から逃れてきた「犬」には、恐ろしい秘密があったのだった・・・。
 映画は冒頭、このようなシーンで始まる。実は、私はこの映画を大学受験を終えたその足で映画館に行き鑑賞した。初めて、一人で映画鑑賞した記念すべき映画だ。よもや、その映画が、あんなに恐ろしい映画だとは、チケットを買った時点では思いもよらなかった。
 とにかく、SFXが凄い!!以前紹介した「エイリアン」でも度肝を抜かれたが、たった3年で、アメリカのSFXは進化し、僕の想像をおもいっきり超えてしまった。もっとも優れた脚本と演出があった上でのSFXであることは間違いなく、この映画の場合、サスペンス的要素をSFXで上手に仕上げている。
 現在なら、CGでいくらでもリアルに作り上げてしまうことができるだろうことは想像に難くないが、この映画を見てしまったら、「この映画はこれでベスト!」と言いたくなるほど完成度が高い。(ちなみに、数年前、この映画のCGによるリメイクが発表されたが、未だに実現したという話を聞かない)ショッキングなシーンが盛りだくさんなので、彼女と一緒に見れば「吊り橋効果」で、彼女をドキドキさせられることは間違いなし!ただ、事前に見ておかないと、彼女以上にビビりまくることになり、嫌われるかも・・・。
 「エイリアン」越えを狙った、SFX映画の金字塔と言ってよい映画!ぜひ、ご覧ください。

   エイリアンと闘ったらこっちが勝つ?的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年8月5日日曜日

「聲の形」障害を問題とする作品ではない!人間の根源的な問題点を少年、少女が苦しみながら成長していく姿から浮き彫りにしていく感動的なアニメ!!

 2016年に公開された日本のアニメーション映画。原作は同名の漫画である。
 映画の冒頭、高校性の主人公、将也は身の回りの物を売り払い、アルバイトで蓄えた貯金をおろして、母親の枕元にそっと置くと家を出る。彼は自分の人生の幕を自らの手で閉じようと決心していたのである。家を出た将也は、遠く小学生時代の思い出を追憶するのだった。
 小学6年生の将也はクラスのガキ大将。仲間二人を引き連れ、毎日を楽しく過ごしていた。そんなある日、一人の少女、硝子が転校してきたことで将也の日常が大きく変わってしまう。硝子は耳に障害があり、補聴器を付けていても十分に聞き取ることはできず、話すことも困難だった。はじめは硝子に優しく接しようとしていたクラスメイトも、少しずつ態度を変えて行き、やがて硝子は一人ぼっちになってしまう。それでも、みんなと交わろうとする硝子に、いらだった将也は補聴器を取り上げると捨ててしまう。補聴器がいかに高価なものか小学6年生にはわからない。将也が8個目の補聴器を壊したとき、教室に校長が訪れ、「補聴器がなくなったり、壊れたことについて誰か知りませんか?」とたずねたことで、将也は担任やクラスメイトから糾弾される。このことをきっかけに、将也の周囲は大きく変わってしまう。将也の親友だった二人は、毎日、将也をいじめるようになり、他のクラスメイトからはシカトされるようになった。それは中学まで及び、将也は自分の生きる価値を見出せなくなっていった。
 高校3年生になった将也は、自分の人生を終えることを決意する。その前に硝子にあってきちんと謝罪したいと考えた将也は、手話教室を訪れる。そして、将也と硝子、二人の再会によって、大きく物語は動き始める・・・。
 この作品には、主人公の将也・硝子をはじめ、たくさんの少年少女が登場する。そして、それぞれがそれぞれの形で「生きにくさ」を感じ、どうしたらよいのかわからず、悩んでいる。「一人ぼっちは嫌だ。でも、どうやって他人とつながっていったらいいの?」思春期の少年少女ならば(あるいは大人になっても)、誰もが感じる悩みであり、不安だ。この作品では、観客にそれをストレートに突きつけ、目をそらすな!と訴えかける。だから、映画の登場人物は観客にとって鏡であり、今現在の自分や過去の自分を映し出し、痛みさえ感じさせる。日本のアニメーションは実写以上にリアルで、完成度が高いことを再認識させられる傑作だ!
 ※ただ、映画の中で主人公二人が、苦しみから逃れようとするすべとして取る方法は、絶対あってはならないものだ。そのあとの、家族の痛みや苦しみにこそ注目すべきである。おそらく作者の意図もそこにあるはず。あとひと月で夏休みが終わるが、この作品を最後まで見れば、「希望」を感じることができるはずである。
        頑張れ!思春期!的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年8月1日水曜日

「ディープインパクト」巨大彗星が地球に接近!「アルマゲドン」より、こっちが好き!

 1998年に公開された。アメリカ映画。
 地球に巨大な彗星が衝突することが発覚。それを回避するために、アメリカ政府は、宇宙船「メサイア」を飛び立たせる。核爆弾により彗星の軌道をそらすのが目的だった。しかし・・・。
 世紀末が近かったためか、「ノストラダムスの大予言」にある「1999年、7の月、空からアンゴルモアの大王が降りてきて・・・」という当時、日本中で流行した予言のためか、「ディープインパクト」が公開された年の前後には、同様の設定の映画が多数公開されている。
 その中でも最もヒットしたのがブルース・ウィリス主演の「アルマゲドン」だった。ストーリーの核も、彗星からの回避方法も同じなのだから、よくも同時期に公開することにしたなあ・・・と当時は、不思議に思ったが興行成績は「アルマゲドン」の圧倒的な勝利に終わった。
 この二つの映画の大きな違いは、「アルマゲドン」がブルース・ウィリスの「ダイ・ハード」シリーズよろしく、彼のヒーロー譚として仕上げられているのに対し、「ディープインパクト」は、彗星に立ち向かうクルーのヒロイズムをテーマにはしていないことだ。
 はじめは「サスペンス」そして「SF」へ。最後には「ヒューマンドラマ」へと成熟して行く物語。
同様な設定で『アルマゲドン』が大ヒットしたために、印象の薄くなってしまったこの作品。実は公開はこちらの方が早かったのに・・・。
 ブルース・ウィリスら乗組員の活躍を力強く大胆に切り取った『アルマゲドン』に対して、こちらは、より「シュミレーション」に力を入れ、政治・マスコミ・乗組員・そして人間愛(親子愛)と多面性を持った映画に仕上がっている。多少、シュミレートに甘さも感じられるが、多くの要素を無理なく短時間にまとめきった良質の作品と言えるだろう。個人的には、僕はこっちの方が好き。映画を見終わったあと、「もし、地球が滅亡するようなことがあったとき、僕は誰といっしょに過ごすのだろう?」静かな感動の中で、そう思ったことを覚えている。
 「地球最後の時、あなたは誰とどこで過ごしますか?」

         地球存亡の危機的評価・・・・・☆☆☆☆