2018年10月12日金曜日

「千と千尋の神隠し」~宮崎アニメの女の子はどうしてこんなに強いのか?~

 2001年に公開された「スタジオジブリ」宮崎 駿 監督作品。日本歴代興行収入を誇る大ヒット作である。

 引越しの途中、千尋たち親子が迷い込んだ不思議な町。戸惑う千尋を尻目に、その町の食べ物を口にする両親。やがて千尋の父と母は豚に姿を変えてしまう。そこは、魔女が支配する神々の体を癒す『不思議な温泉場』だった。両親を救い出すため、美少年ハクの思いやりに支えられながら、けなげに働く千尋。その千尋に引かれていく謎の存在『顔無し』・・・。千と名を変えられた千尋の冒険が始まる。

 あまりの評判に、当時、映画館まで足を運んで鑑賞した作品。公開からひと月を過ぎていたにもかかわらず、会場は満席でなんとかギリギリ座ってみることができた。こんな体験は、「E.T」以来で驚いた。

 単純におもしろい!これにつきます。内容としては「宮崎版不思議の国のアリス」となるのでしょうが、私の目には「となりのトトロ」とリンクした世界に映りましたが、宮崎さんはどう考えていたのでしょう。子ども連れが多い映画は、ともすると騒がしくなるのですが、この映画は集中力を持続できない子どもたちの目を2時間近い長時間にわたって引きつける魅力に溢れていました。それだけで、もう充分じゃないですか。
 
 しかし、宮崎アニメの女の子達の「美しく、優しく、強い」こと・・・。あるいは「母性」と言えるかもしれませんが、宮崎さんのお母さんの姿が作品に投影されているのかなあ?、と思うのは私だけでしょうか・・・。


      スタジオジブリの復活を願って評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年10月9日火曜日

アニメ「BANANA FISH (バナナ・フィッシュ)」~少女漫画が少年漫画を凌駕した日~

 これまで、「映画」を中心として紹介してきたこのブログですが、どうしてもお話ししたいアニメが最近テレビで公開されているので、お許しください。それほどに、この作品は私にとって、記憶に残るアニメーションなのです。ぜひ、多くのみなさんにもご覧いただき、このアニメが打ち切りにならずに、最終回を無事に迎えられることを望みます…。

 原作はマンガ「BANANA FISH (バナナフィッシュ)」1985年~1994の長期に及び連載された。
 
 ニューヨークのダウンタウンのストリート・キッズのボス「アッシュ・リンクス」と、日本からカメラマンの助手として取材に来た「奥村英二」の心の交流を、謎の存在「BANANA FISH」を軸に描いていくクライムアクションである。

 驚くべきは、コルシカマフィアやチャイニーズマフィアの暗躍する世界観の中で、「アッシュ」と「英二」の友情を超えた交流を、「少女漫画誌」上に長期連載し、多くの読者に支持され、最終回には見事なまでに物語を結実させた、著者の手腕である。

 実は私がこのマンガの存在を知ったのは、連載終了後、十年もたってからである。

 ある雑誌で「マンガベスト100!」という企画が掲載され、あの漫画の神様、手塚治虫の「ブラック・ジャック」をおさえ、第1位を獲得したのが「BANANA FISH」だったのである。
 当時、「BANANA FISH」の存在を知らなかった私は、雑誌を立ち読みしたその足で、「BANANA FISH」全巻を購入。一晩で読破し、打ちのめされた。

 この、複雑なストーリー・・・ニューヨークのダウンタウンを舞台にし、マフィアやストリートキッドをリアルに(あるいはリアルに感じさせて)j表現しながら、アッシュと英二の二人の関係を美しく描き、迎えた最終回は私に熱い涙を流させた。

 そして、今年、時代を現在に置き換え、それでも原作により忠実に描かれているアニメが公開されている。遅すぎるアニメ化ともいえるが、あの伝説的な「美しくも切ない最終回」をこの目で見たいと感じずにはいられない。

    アッシュ・・・日本に来てほしかった・・・・・☆☆☆☆☆

2018年10月7日日曜日

「 A K I R A 」~これぞ、ジャパニメーション!~

 1988年 日本でのちに「ジャパニメーション」の完成度の高さを知らしめるアニメ映画が公開された。
 劇場アニメ映画「アキラ」である。

 舞台は2019年の「ネオトウキョウシティ」。そこは、1988年に第3次世界大戦が勃発し、関東地方に「新型爆弾」が使用されて荒廃した日本の首都「東京」の姿だった。
 ゲリラ軍と政府軍が対立する中、主人公 金田は暴走族のリーダーとして敵対するグループとの争いに興じていた。
 金田のグループの一人 鉄雄は、暴走族同士の争いのさなか、道路に立ちすくむ「小さな影」を避けようと事故を起こし、政府軍に連れ去られてしまう。
 政府軍の実験に巻き込まれ、覚醒していく鉄雄。ひょんなことからゲリラ軍に同行することになった金田は、豹変した鉄雄と敵対していく。
 そして、「ネオトウキョウシティ」では政府軍が恐れる「アキラ」が覚醒しようとしていた・・・!

 とにかく、映像美の美しさに誰もが息をのむ。冒頭のバイクが走るシーンは、実写よりもリアルで美しい。原作は、大友克洋による「AKIRA」であるが、連載途中でアニメ化が決定したことで、自身が監督脚本を引き受け、この映画のために書き下したストーリーは、スリルとサスペンスに溢れ、見るものを近未来へと押し流していく。

 「AKIRA」が世界に発表されたことによって、日本のアニメが「子供のものではなく、大人も楽しめるれっきとしたエンターテインメント」であることを大きく印象付け、のちにハリウッド映画にも大きな影響を与えたことは有名だ。その意味では、大友克洋は黒沢監督に次ぐ日本を代表する映画人と言える。

 ちなみに、「AKIRA」の舞台のネオトウキョウシティは、翌年の2020年夏季オリンピックの開催が予定されており、劇中には「オリンピックを成功させよう」等の看板が出てくる。しかし、この映画の結末を見れば、「2020年にオリンピックは開催できない」ことは明白である。
 さて、現実の東京では無事、オリンピックを開催できるのだろうか?

  完璧なアニメーション映画!
  女の子のキャラデザインはなんとかして欲しい評価・・・・・☆☆☆☆

2018年10月3日水曜日

「リアル・スティール」~アトムはこんなところでも活躍していた!~

 2011年に公開されたアメリカ映画。主演はXメンで有名なヒュー・ジャックマン。

 時は2020年の未来。ヒュー・ジャックマン演じるチャーリーは、将来を嘱望されたプロボクサーだったが、落ちぶれて「ロボットボクシング」で日銭を稼ぐ日々を送っていた。
 そんなおり、かつての妻が亡くなりチャーリーは息子のマックスとひと夏を過ごすことになる。父子二人は、中古のロボットでロボットボクシングに挑むも大敗を喫し、頼りのロボットはスクラップになってしまう。
 そこで二人はスクラップ工場に侵入。ロボットの部品を盗んで新しいロボットを買うための資金を得ようと企むが、そこで、息子のマックスがスクラップの泥に埋もれた旧型のロボットを発掘する。かつてスパーリング用に開発されたそのロボットは、マックスによる「アトム」と名付けられ、「ロボットボクシング」のリングへと上がっていくのであった・・・。

 Xメン以外でヒュージャックマンを見るのは、これが初めての体験。以外に落ちぶれた中年男が似合っていて、正直驚いたというのが最初の印象でした。
 しかし、「くたびれた中年男」「離婚」「久しぶりの息子との対面」とハリウッド映画の「あるある」のオンパレードに、映画館で観た私は、早々に後悔を・・・。
 ところが「アトム」の登場から、映画にどんどん引き込まれていきます。
 この「アトム」、手塚アニメのアトムとは似ても似つきません。もっとも、この映画にはたくさんのロボットが登場しますが、手塚アニメのロボットのようなヒューマノイド型のロボットは登場せず、如何にも「戦うためのロボット」というメカニカルデザイン。
 にもかかわらず、主人公が操縦するロボットに「アトム」と名付けられたのは、手塚アニメのアトムへのリスペクトがあったからだと勝手に判断しました。

 何しろ、ロボット同士のアクションシーンが凄い!!CGだとはわかっていながら手に汗握る興奮を覚えました。「アトム」は小型ロボットながら、その敏捷な動きで次々に強敵を撃破!!その痛快さは筆舌に尽くせませんので、ぜひDVDでご鑑賞ください。

 ロボットアクション映画でありながら、父子のロードムービーとしても良質な作品に仕上がっているので、休日の夜、お父さんが息子と見るのには最高の映画であることは保証します!

       親子の絆を取り戻せ的評価・・・・・☆☆☆☆

2018年10月2日火曜日

「猟奇的な彼女」~ヒロインがかわいくて恐ろしい・・・!~

 2001年韓国映画。もともとはネット上の小説だったものを、その面白さから映画化に至った作品。日本の「電車男」にヒットの形態は似ている。

 兵役を終えて、大学に復学したキョヌというナンパ好き大学生が主人公。ある晩、キョヌは電車を待っていて、一人の酔っぱらった女性に出会う。美人だが挙動がおかしい彼女を介抱しようと、ホテルで一晩を過ごしたことから、二人の笑える交際が始まる・・・。

 正直、個人的に「韓国映画」や「韓国ドラマ」は敬遠してきました。これといった理由はないのですが、「初じめてみた韓国ドラマ」の「冬のソナタ」にゲンナリしたことがトラウマになってしまったのかもしれません。
 しかし、この「猟奇的な彼女」の変なタイトルとヒロインのビジュアルに引っ張られて「ちょっと見てみようか」と手にした一本。
で、とても楽しかった!

 とにかくヒロインの「彼女」がぶっ飛んでいます。美人なのに、暴力的で女王様気質の酔っぱらいです。
 主人公のキョヌは日本でもどこにでもいる「草食系男子」。このキョヌが偶然知り合った「彼女」に振り回されて、ボコられて…笑わせてくれます。
 主人公がかわいい「彼女」に巻き込まれて、振り回されて…という意味では「君の膵臓を食べたい」に似ているかも?

 どちらも、主人公の男の子が、理不尽な仕打ちを受けながらも「彼女」から離れられないのは、「彼女」の魅力に他ならない…というのは同じですね。
 そして、最後には泣かされるあたりも、構成はよく似ていますが、「猟奇的彼女」はいちいちぶっ飛んでいます。
 ネタバレしたら、これから見る人たちの楽しみを奪ってしまうので、この程度にとどめておきますが、とにかく笑えること間違いなしの一本です。
 彼女と家で映画鑑賞するには最高だと思いますが、その後に、
あなたの彼女が「猟奇的」になっても補償できないので、自己責任でお願いします!

        笑えるデート映画・・・・・☆☆☆☆☆ 最高点!!