2018年10月12日金曜日

「千と千尋の神隠し」~宮崎アニメの女の子はどうしてこんなに強いのか?~

 2001年に公開された「スタジオジブリ」宮崎 駿 監督作品。日本歴代興行収入を誇る大ヒット作である。

 引越しの途中、千尋たち親子が迷い込んだ不思議な町。戸惑う千尋を尻目に、その町の食べ物を口にする両親。やがて千尋の父と母は豚に姿を変えてしまう。そこは、魔女が支配する神々の体を癒す『不思議な温泉場』だった。両親を救い出すため、美少年ハクの思いやりに支えられながら、けなげに働く千尋。その千尋に引かれていく謎の存在『顔無し』・・・。千と名を変えられた千尋の冒険が始まる。

 あまりの評判に、当時、映画館まで足を運んで鑑賞した作品。公開からひと月を過ぎていたにもかかわらず、会場は満席でなんとかギリギリ座ってみることができた。こんな体験は、「E.T」以来で驚いた。

 単純におもしろい!これにつきます。内容としては「宮崎版不思議の国のアリス」となるのでしょうが、私の目には「となりのトトロ」とリンクした世界に映りましたが、宮崎さんはどう考えていたのでしょう。子ども連れが多い映画は、ともすると騒がしくなるのですが、この映画は集中力を持続できない子どもたちの目を2時間近い長時間にわたって引きつける魅力に溢れていました。それだけで、もう充分じゃないですか。
 
 しかし、宮崎アニメの女の子達の「美しく、優しく、強い」こと・・・。あるいは「母性」と言えるかもしれませんが、宮崎さんのお母さんの姿が作品に投影されているのかなあ?、と思うのは私だけでしょうか・・・。


      スタジオジブリの復活を願って評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年10月9日火曜日

アニメ「BANANA FISH (バナナ・フィッシュ)」~少女漫画が少年漫画を凌駕した日~

 これまで、「映画」を中心として紹介してきたこのブログですが、どうしてもお話ししたいアニメが最近テレビで公開されているので、お許しください。それほどに、この作品は私にとって、記憶に残るアニメーションなのです。ぜひ、多くのみなさんにもご覧いただき、このアニメが打ち切りにならずに、最終回を無事に迎えられることを望みます…。

 原作はマンガ「BANANA FISH (バナナフィッシュ)」1985年~1994の長期に及び連載された。
 
 ニューヨークのダウンタウンのストリート・キッズのボス「アッシュ・リンクス」と、日本からカメラマンの助手として取材に来た「奥村英二」の心の交流を、謎の存在「BANANA FISH」を軸に描いていくクライムアクションである。

 驚くべきは、コルシカマフィアやチャイニーズマフィアの暗躍する世界観の中で、「アッシュ」と「英二」の友情を超えた交流を、「少女漫画誌」上に長期連載し、多くの読者に支持され、最終回には見事なまでに物語を結実させた、著者の手腕である。

 実は私がこのマンガの存在を知ったのは、連載終了後、十年もたってからである。

 ある雑誌で「マンガベスト100!」という企画が掲載され、あの漫画の神様、手塚治虫の「ブラック・ジャック」をおさえ、第1位を獲得したのが「BANANA FISH」だったのである。
 当時、「BANANA FISH」の存在を知らなかった私は、雑誌を立ち読みしたその足で、「BANANA FISH」全巻を購入。一晩で読破し、打ちのめされた。

 この、複雑なストーリー・・・ニューヨークのダウンタウンを舞台にし、マフィアやストリートキッドをリアルに(あるいはリアルに感じさせて)j表現しながら、アッシュと英二の二人の関係を美しく描き、迎えた最終回は私に熱い涙を流させた。

 そして、今年、時代を現在に置き換え、それでも原作により忠実に描かれているアニメが公開されている。遅すぎるアニメ化ともいえるが、あの伝説的な「美しくも切ない最終回」をこの目で見たいと感じずにはいられない。

    アッシュ・・・日本に来てほしかった・・・・・☆☆☆☆☆

2018年10月7日日曜日

「 A K I R A 」~これぞ、ジャパニメーション!~

 1988年 日本でのちに「ジャパニメーション」の完成度の高さを知らしめるアニメ映画が公開された。
 劇場アニメ映画「アキラ」である。

 舞台は2019年の「ネオトウキョウシティ」。そこは、1988年に第3次世界大戦が勃発し、関東地方に「新型爆弾」が使用されて荒廃した日本の首都「東京」の姿だった。
 ゲリラ軍と政府軍が対立する中、主人公 金田は暴走族のリーダーとして敵対するグループとの争いに興じていた。
 金田のグループの一人 鉄雄は、暴走族同士の争いのさなか、道路に立ちすくむ「小さな影」を避けようと事故を起こし、政府軍に連れ去られてしまう。
 政府軍の実験に巻き込まれ、覚醒していく鉄雄。ひょんなことからゲリラ軍に同行することになった金田は、豹変した鉄雄と敵対していく。
 そして、「ネオトウキョウシティ」では政府軍が恐れる「アキラ」が覚醒しようとしていた・・・!

 とにかく、映像美の美しさに誰もが息をのむ。冒頭のバイクが走るシーンは、実写よりもリアルで美しい。原作は、大友克洋による「AKIRA」であるが、連載途中でアニメ化が決定したことで、自身が監督脚本を引き受け、この映画のために書き下したストーリーは、スリルとサスペンスに溢れ、見るものを近未来へと押し流していく。

 「AKIRA」が世界に発表されたことによって、日本のアニメが「子供のものではなく、大人も楽しめるれっきとしたエンターテインメント」であることを大きく印象付け、のちにハリウッド映画にも大きな影響を与えたことは有名だ。その意味では、大友克洋は黒沢監督に次ぐ日本を代表する映画人と言える。

 ちなみに、「AKIRA」の舞台のネオトウキョウシティは、翌年の2020年夏季オリンピックの開催が予定されており、劇中には「オリンピックを成功させよう」等の看板が出てくる。しかし、この映画の結末を見れば、「2020年にオリンピックは開催できない」ことは明白である。
 さて、現実の東京では無事、オリンピックを開催できるのだろうか?

  完璧なアニメーション映画!
  女の子のキャラデザインはなんとかして欲しい評価・・・・・☆☆☆☆

2018年10月3日水曜日

「リアル・スティール」~アトムはこんなところでも活躍していた!~

 2011年に公開されたアメリカ映画。主演はXメンで有名なヒュー・ジャックマン。

 時は2020年の未来。ヒュー・ジャックマン演じるチャーリーは、将来を嘱望されたプロボクサーだったが、落ちぶれて「ロボットボクシング」で日銭を稼ぐ日々を送っていた。
 そんなおり、かつての妻が亡くなりチャーリーは息子のマックスとひと夏を過ごすことになる。父子二人は、中古のロボットでロボットボクシングに挑むも大敗を喫し、頼りのロボットはスクラップになってしまう。
 そこで二人はスクラップ工場に侵入。ロボットの部品を盗んで新しいロボットを買うための資金を得ようと企むが、そこで、息子のマックスがスクラップの泥に埋もれた旧型のロボットを発掘する。かつてスパーリング用に開発されたそのロボットは、マックスによる「アトム」と名付けられ、「ロボットボクシング」のリングへと上がっていくのであった・・・。

 Xメン以外でヒュージャックマンを見るのは、これが初めての体験。以外に落ちぶれた中年男が似合っていて、正直驚いたというのが最初の印象でした。
 しかし、「くたびれた中年男」「離婚」「久しぶりの息子との対面」とハリウッド映画の「あるある」のオンパレードに、映画館で観た私は、早々に後悔を・・・。
 ところが「アトム」の登場から、映画にどんどん引き込まれていきます。
 この「アトム」、手塚アニメのアトムとは似ても似つきません。もっとも、この映画にはたくさんのロボットが登場しますが、手塚アニメのロボットのようなヒューマノイド型のロボットは登場せず、如何にも「戦うためのロボット」というメカニカルデザイン。
 にもかかわらず、主人公が操縦するロボットに「アトム」と名付けられたのは、手塚アニメのアトムへのリスペクトがあったからだと勝手に判断しました。

 何しろ、ロボット同士のアクションシーンが凄い!!CGだとはわかっていながら手に汗握る興奮を覚えました。「アトム」は小型ロボットながら、その敏捷な動きで次々に強敵を撃破!!その痛快さは筆舌に尽くせませんので、ぜひDVDでご鑑賞ください。

 ロボットアクション映画でありながら、父子のロードムービーとしても良質な作品に仕上がっているので、休日の夜、お父さんが息子と見るのには最高の映画であることは保証します!

       親子の絆を取り戻せ的評価・・・・・☆☆☆☆

2018年10月2日火曜日

「猟奇的な彼女」~ヒロインがかわいくて恐ろしい・・・!~

 2001年韓国映画。もともとはネット上の小説だったものを、その面白さから映画化に至った作品。日本の「電車男」にヒットの形態は似ている。

 兵役を終えて、大学に復学したキョヌというナンパ好き大学生が主人公。ある晩、キョヌは電車を待っていて、一人の酔っぱらった女性に出会う。美人だが挙動がおかしい彼女を介抱しようと、ホテルで一晩を過ごしたことから、二人の笑える交際が始まる・・・。

 正直、個人的に「韓国映画」や「韓国ドラマ」は敬遠してきました。これといった理由はないのですが、「初じめてみた韓国ドラマ」の「冬のソナタ」にゲンナリしたことがトラウマになってしまったのかもしれません。
 しかし、この「猟奇的な彼女」の変なタイトルとヒロインのビジュアルに引っ張られて「ちょっと見てみようか」と手にした一本。
で、とても楽しかった!

 とにかくヒロインの「彼女」がぶっ飛んでいます。美人なのに、暴力的で女王様気質の酔っぱらいです。
 主人公のキョヌは日本でもどこにでもいる「草食系男子」。このキョヌが偶然知り合った「彼女」に振り回されて、ボコられて…笑わせてくれます。
 主人公がかわいい「彼女」に巻き込まれて、振り回されて…という意味では「君の膵臓を食べたい」に似ているかも?

 どちらも、主人公の男の子が、理不尽な仕打ちを受けながらも「彼女」から離れられないのは、「彼女」の魅力に他ならない…というのは同じですね。
 そして、最後には泣かされるあたりも、構成はよく似ていますが、「猟奇的彼女」はいちいちぶっ飛んでいます。
 ネタバレしたら、これから見る人たちの楽しみを奪ってしまうので、この程度にとどめておきますが、とにかく笑えること間違いなしの一本です。
 彼女と家で映画鑑賞するには最高だと思いますが、その後に、
あなたの彼女が「猟奇的」になっても補償できないので、自己責任でお願いします!

        笑えるデート映画・・・・・☆☆☆☆☆ 最高点!!

2018年8月23日木曜日

「君の膵臓をたべたい」日本人は薄幸な美少女が大好きだなぁ・・・

 2017年公開の日本映画 原作は「住野よる」による同名小説

 最近の原作付き邦画では、もっとも成功した作品のようで、先日はTVの地上波でも放送され話題になった。
 僕は映画公開された時に、小説の方を先に読んで、映画自体は半年後にDVDで鑑賞することになった。なので、どうしても原作小説と映画をくらべてしまう。
 脚本が原作と異なる点が出てしまうのは時間の制約上、仕方がないのだろう。また、有名女優や人気俳優を起用しなければならないのも、興行上仕方がないのかもしれないが・・・。個人的には、それらが、この作品を残念なものにしているように思えてならない。
 キャスティングで、ヒロインを努めた 浜辺美波 は素晴らしい。原作の中の少女そのものであるが、こんな美少女が「クラスで三番目にかわいい」かったら、そのクラスは大変な美少女の集まりということになる。
 今までだったら、広瀬すず や 土屋太鳳 がつとめていた役を、一つ下の世代の彼女が、見事に(実に艶っぽく)演じている。男子校だった自分には、高校時代にこのような少女と出会うチャンスは皆無だっただけに、彼女の愛らしさを見られるだけでも十分評価できる映画だ。
 しかし、やっぱり日本人(僕も含めて)悲恋物に弱いのだなぁ・・・。

      浜辺美波の今後が楽しみ 的評価・・・・・☆☆☆☆

2018年8月10日金曜日

「遊星からの物体X」CGじゃない特撮によるリアリティ!エイリアンに匹敵する恐ろしい異星人の正体をその目で観ろ!

 1982年のアメリカ映画。1951年に製作された「遊星よりの物体X」のリメイクという触れ込みだが、SFX(特撮)のクォリティの高さにより、まるっきり別物になってしまった。
 映画の舞台は、1982年の南極大陸。アメリカ人の南極観測隊の14名は、ある日、ノルウェーの観測隊のヘリコプターが、一匹の犬を追ってやってくるのに出くわす。ノルウェーの観測隊員は犬を執拗に追いかけ、殺そうとしていた。犬はアメリカの南極観測基地に逃げ込んでしまう。それを追って、ノルウェーの観測隊員は犬に銃を向け、誤ってアメリカ人を傷つけたため、アメリカの観測隊員はノルウェーの隊員を銃で撃ち殺してしまう。「なぜ、彼らは犬を殺そうとしたのだ?」驚き、訝るアメリカの観測隊員たち・・・。南極大陸では、犬は大切な仲間であった。しかし、ノルウェー人から逃れてきた「犬」には、恐ろしい秘密があったのだった・・・。
 映画は冒頭、このようなシーンで始まる。実は、私はこの映画を大学受験を終えたその足で映画館に行き鑑賞した。初めて、一人で映画鑑賞した記念すべき映画だ。よもや、その映画が、あんなに恐ろしい映画だとは、チケットを買った時点では思いもよらなかった。
 とにかく、SFXが凄い!!以前紹介した「エイリアン」でも度肝を抜かれたが、たった3年で、アメリカのSFXは進化し、僕の想像をおもいっきり超えてしまった。もっとも優れた脚本と演出があった上でのSFXであることは間違いなく、この映画の場合、サスペンス的要素をSFXで上手に仕上げている。
 現在なら、CGでいくらでもリアルに作り上げてしまうことができるだろうことは想像に難くないが、この映画を見てしまったら、「この映画はこれでベスト!」と言いたくなるほど完成度が高い。(ちなみに、数年前、この映画のCGによるリメイクが発表されたが、未だに実現したという話を聞かない)ショッキングなシーンが盛りだくさんなので、彼女と一緒に見れば「吊り橋効果」で、彼女をドキドキさせられることは間違いなし!ただ、事前に見ておかないと、彼女以上にビビりまくることになり、嫌われるかも・・・。
 「エイリアン」越えを狙った、SFX映画の金字塔と言ってよい映画!ぜひ、ご覧ください。

   エイリアンと闘ったらこっちが勝つ?的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年8月5日日曜日

「聲の形」障害を問題とする作品ではない!人間の根源的な問題点を少年、少女が苦しみながら成長していく姿から浮き彫りにしていく感動的なアニメ!!

 2016年に公開された日本のアニメーション映画。原作は同名の漫画である。
 映画の冒頭、高校性の主人公、将也は身の回りの物を売り払い、アルバイトで蓄えた貯金をおろして、母親の枕元にそっと置くと家を出る。彼は自分の人生の幕を自らの手で閉じようと決心していたのである。家を出た将也は、遠く小学生時代の思い出を追憶するのだった。
 小学6年生の将也はクラスのガキ大将。仲間二人を引き連れ、毎日を楽しく過ごしていた。そんなある日、一人の少女、硝子が転校してきたことで将也の日常が大きく変わってしまう。硝子は耳に障害があり、補聴器を付けていても十分に聞き取ることはできず、話すことも困難だった。はじめは硝子に優しく接しようとしていたクラスメイトも、少しずつ態度を変えて行き、やがて硝子は一人ぼっちになってしまう。それでも、みんなと交わろうとする硝子に、いらだった将也は補聴器を取り上げると捨ててしまう。補聴器がいかに高価なものか小学6年生にはわからない。将也が8個目の補聴器を壊したとき、教室に校長が訪れ、「補聴器がなくなったり、壊れたことについて誰か知りませんか?」とたずねたことで、将也は担任やクラスメイトから糾弾される。このことをきっかけに、将也の周囲は大きく変わってしまう。将也の親友だった二人は、毎日、将也をいじめるようになり、他のクラスメイトからはシカトされるようになった。それは中学まで及び、将也は自分の生きる価値を見出せなくなっていった。
 高校3年生になった将也は、自分の人生を終えることを決意する。その前に硝子にあってきちんと謝罪したいと考えた将也は、手話教室を訪れる。そして、将也と硝子、二人の再会によって、大きく物語は動き始める・・・。
 この作品には、主人公の将也・硝子をはじめ、たくさんの少年少女が登場する。そして、それぞれがそれぞれの形で「生きにくさ」を感じ、どうしたらよいのかわからず、悩んでいる。「一人ぼっちは嫌だ。でも、どうやって他人とつながっていったらいいの?」思春期の少年少女ならば(あるいは大人になっても)、誰もが感じる悩みであり、不安だ。この作品では、観客にそれをストレートに突きつけ、目をそらすな!と訴えかける。だから、映画の登場人物は観客にとって鏡であり、今現在の自分や過去の自分を映し出し、痛みさえ感じさせる。日本のアニメーションは実写以上にリアルで、完成度が高いことを再認識させられる傑作だ!
 ※ただ、映画の中で主人公二人が、苦しみから逃れようとするすべとして取る方法は、絶対あってはならないものだ。そのあとの、家族の痛みや苦しみにこそ注目すべきである。おそらく作者の意図もそこにあるはず。あとひと月で夏休みが終わるが、この作品を最後まで見れば、「希望」を感じることができるはずである。
        頑張れ!思春期!的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年8月1日水曜日

「ディープインパクト」巨大彗星が地球に接近!「アルマゲドン」より、こっちが好き!

 1998年に公開された。アメリカ映画。
 地球に巨大な彗星が衝突することが発覚。それを回避するために、アメリカ政府は、宇宙船「メサイア」を飛び立たせる。核爆弾により彗星の軌道をそらすのが目的だった。しかし・・・。
 世紀末が近かったためか、「ノストラダムスの大予言」にある「1999年、7の月、空からアンゴルモアの大王が降りてきて・・・」という当時、日本中で流行した予言のためか、「ディープインパクト」が公開された年の前後には、同様の設定の映画が多数公開されている。
 その中でも最もヒットしたのがブルース・ウィリス主演の「アルマゲドン」だった。ストーリーの核も、彗星からの回避方法も同じなのだから、よくも同時期に公開することにしたなあ・・・と当時は、不思議に思ったが興行成績は「アルマゲドン」の圧倒的な勝利に終わった。
 この二つの映画の大きな違いは、「アルマゲドン」がブルース・ウィリスの「ダイ・ハード」シリーズよろしく、彼のヒーロー譚として仕上げられているのに対し、「ディープインパクト」は、彗星に立ち向かうクルーのヒロイズムをテーマにはしていないことだ。
 はじめは「サスペンス」そして「SF」へ。最後には「ヒューマンドラマ」へと成熟して行く物語。
同様な設定で『アルマゲドン』が大ヒットしたために、印象の薄くなってしまったこの作品。実は公開はこちらの方が早かったのに・・・。
 ブルース・ウィリスら乗組員の活躍を力強く大胆に切り取った『アルマゲドン』に対して、こちらは、より「シュミレーション」に力を入れ、政治・マスコミ・乗組員・そして人間愛(親子愛)と多面性を持った映画に仕上がっている。多少、シュミレートに甘さも感じられるが、多くの要素を無理なく短時間にまとめきった良質の作品と言えるだろう。個人的には、僕はこっちの方が好き。映画を見終わったあと、「もし、地球が滅亡するようなことがあったとき、僕は誰といっしょに過ごすのだろう?」静かな感動の中で、そう思ったことを覚えている。
 「地球最後の時、あなたは誰とどこで過ごしますか?」

         地球存亡の危機的評価・・・・・☆☆☆☆

2018年7月28日土曜日

「レオン」少女マチルダの涙に、殺し屋レオンは立ち上がる!

 1994年、フランス・アメリカの合作映画。
 舞台はニューヨーク。イタリア系移民のレオンは超一流の殺し屋だ。マフィアのボスであるトニーから依頼されたターゲットを確実かつスマートに抹殺する。しかし、孤独で寂しい日々を送っていた。一方、同じアパートの隣室に住む12歳の少女マチルダもまた、父親からの虐待や母親のネグレクトに苦しみながら、弟への愛情だけを頼りに生きていた。
 ある日の仕事帰り、レオンがマチルダの鼻血に気付き、ハンカチを差し出したことから、二人のささやかな交流が始まる。
 ところが、その翌日、マチルダの父親が麻薬の密売組織の商品に手を出したことをきっかけに、マチルダの家族は皆殺しにされてしまう。買い物に出かけていて、その難を逃れたマチルダはレオンに助けられ、二人は奇妙な共同生活を送るようになる。レオンはマチルダから読み書きを教わり、マチルダはレオンから復讐のため、殺しの技術を教わる。そんな生活の中で二人は互いを信頼し合い、大切な存在と思うようになっていた。
 ひと時の安らぎの時間は、突然、打ち破ぶられた。マチルダが麻薬組織の真相に気付いたのだ。家族の復讐のために、一人、潜入するマチルダ。そのマチルダを救うため後を追うレオン。映画は切ないクライマックスへと向かっていく・・・。
 ストーリーやアクションシーンの面白さはさておいて、とにかく、マチルダ役のナタリー・ポートマンの美少女っぷりと、冒頓とした殺し屋のレオン役を演じるジャン・レノの二人が魅力的だ。漫画好きの僕は、「ブラック・ジャック」のピノコとブラック・ジャックを思い浮かべてしまう。ただ、マチルダとレノンは決して多くの言葉を交わすわけではない。しかし、確かに、互いが互いをかけがえのないものになっていくことに、観客は気付かされる。脚本の妙であり、二人の演技の賜物だろう。
 このブログでは、紹介した映画をぜひ見ていただきたいので、クライマックスシーンのネタバレは避けてきた。この映画についても同様だが、ラストシーンはとても切ないものとなっており、僕にとっては「猿の惑星」とは違った意味で、最上級のラストシーンとなっている。是非、まだ見ていない人には見ていただきたい、傑作中の傑作だ。
 ちなみに、マチルダ役のナタリー・ポートマンは本当に美しい少女役で、僕は「レオン」の続編、マチルダが殺し屋として活躍する映画が作られることをとても楽しみにしていた。そのためにも、ナタリー・ポートマンの美しさが損なわれないように成長してくれることを望んでいたが、それは、期待通りになった。彼女は「スターウォーズ」でヒロイン役を演じる程に美しく成長し、演技力はアカデミー賞主演女優賞を受けるまでになった。それなのに、レオンの後継者として成長したマチルダを描く映画は製作されていない。こんなことを期待していたのは、僕だけなのかなぁ。

    見ればあなたもきっと泣く的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月27日金曜日

「ターミネーター2」CGの可能性を、世に知らしめた傑作であり、シリーズ最高傑作!!

 1984年に公開された「ターミネーター」の続編として、その10年後を描いた作品。公開は1991年。アメリカ映画。
 近未来に核戦争が起こり、人類は存亡の危機に陥っていた。その最中、人工知能「スカイネット」は人類に対して反乱を起こし、「人類VS機械軍」の戦争が続いていた。人類の希望は、強いリーダーシップで人類の抵抗軍を統率する「ジョン・コナー」。スカイネットは、ジョン・コナーを排除するため、タイムマシンを使い、ジョン・コナーの母親となる女性を抹殺するため、「ターミネーター(シュワちゃん)」を送り出す。ジョン・コナーの母親サラ・コナーは、ジョンが母親を守るために送り出した部下カイルとともに、ターミネーターを撃退する・・・これが、第1作「ターミネーター」のあらすじ。
 ここで紹介する「T2(ターミネーター2)」は、その10年後を描いたものだ。
 第1作では、まだ生まれていなかったジョン・コナーは、たくましい少年として成長。一方、母親のサラは、警察病院に収監されていた。そんな二人のもとに再びスカイネットは、ジョンとサラを倒すため、新たなターミネータ―(T-1000)を送り込んだ。液体金属で作られたT-1000は、どんな形にも変身でき、また、すべての衝撃を変形することで無効果する恐ろしいターミネーターだった。追いつめられるジョンとサラ。そこに彼らを守るために現れたのが、第1作でサラを襲った旧型ターミネータ―(T-800)だった・・・。
 ハリウッド映画は、ヒットすると続編を作る傾向が非常い強い。まあ、ある程度の興収が見込めるから理解はできるが、多くの場合、第1作を超えられないことが多い。しかし、この「T2」はそんなジンクス(?)を覆す最初の映画となった。ストーリーの面白さもさることながら、CGの進化がその原動力となったのは間違いない。この映画の最大の敵T-1000は、液体金属で作られているため、どんな形にでも変形できる。この変形シーンはCGなしでは表現できなかったものである。残念ながら、日本のお家芸である「特撮」では不可能なAからBへの変形過程を実にスムーズに描いて見せている。初めてT-1000の変形シーンを見たときの驚きは忘れられない。これは、映画界において一つのターニングポイントになったと言えるだろう。
 また、「シュワちゃん」立ち位置が、ジョンとサラを救うために自分の身体を犠牲にすることなど厭わない、超絶ボディガードになったことで、物語はシンプルな勧善懲悪になった。手に汗握るアクションシーンの数々に、公開時は「T2」ブームとなり、ターミネーターのテーマ曲は、誰もが知る曲となった。この後、「ターミネーター3」「ターミネーター4」「ターミネーター ジェニシス」また、美少女型ターミネーターが活躍するドラマ版も作製されているが、残念ながらストーリーは迷走し、興行成績も振るわなかった。
 しかし、本当に面白いストーリーであれば続編でも指示されることを証明してくれた記念すべき作品である!!

       CGびっくり元年的評価・・・・・☆☆☆☆☆
 

2018年7月25日水曜日

「コーラスライン」ブロードウェイ名作ミュージカルの映画化!歌え!踊れ!人生を語れ!!

 1985年公開のミュージカル映画。1975に初演されたブロードウェイミュージカルを映画用にブラッシュアップした名作。
 「コーラスライン」は、メインキャストにはなれないバックダンサーたちのオーディションに焦点を当て、たとえスポットライトが当たらない役でも、自分の好きなものに挑戦し続ける人々の物語である。
 演出家のザック(マイケル・ダグラス)は、ほんの端役でしかないバックダンサーたちに、これまでのオーディションとはかけ離れたことを要求する。単にダンス等のスキルを見るのではなく、一人ひとりに、自分の過去・コンプレックスを語り、表現することを求めたのだ。その要求に、疑問を持ちながら、役を得るために「自分」を語り始めるダンサーたち・・・。生きることの苦しさや、それでも自分が輝くために挑戦し続ける切なさを躍り、歌い上げる。
 僕が初めてこの映画を見たのは、大学生の時だ。公開時に見ることがかなわず、当時、まだ存在していた「名画座」でなけなしの500円を払い、映画館で観た。実は、ミュージカル映画を映画館で観たのは初めてだった。テレビで「ウエストサイド物語」を見て以来、ダンスの素晴らしさに魅了され、いつか、映画館の大画面で観たいと思っていた。
 この「コーラスライン」のダンスシーンもまた、素晴らしいものだった。時にダイナミックに、時に繊細に歌い、踊る姿に、身長も低く、短足だった僕はあこがれずにはいられなかった。「あんなふうに歌えたら、あんなふうに踊れたら・・・」そう思いながら、僕は3回名画座に通った。
 この映画のストーリーもまた、当時の自分の琴線に触れるものがあった。ダンサーが自分の過去、とりわけ苦しんできたコンプレックスを歌い上げるシーンだ。大学卒業を前に自分の進路を決めなくてはならなかった僕に、勇気を与えてくれた映画だ。

 人生一回きりだから好きなことしなくちゃね的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月24日火曜日

「エイリアン」最強の宇宙生物とヒロインの壮絶バトル!心臓の弱い人は見てはいけない!!

 1979年公開のアメリカ映画。リドリー・スコット監督とシガニ―・ウィーバーの出世作である。
 宇宙貨物船ノストロモ号は、他の惑星から採掘した鉱物を積み込み、地球に帰る途中であった。冷凍睡眠していた乗組員たちは、船が予定をコースを外れ、ある惑星に向かっていることに気付き困惑する。船を制御するAI「マザー」が、生命が存在する可能性のある惑星を発見。勝手にその惑星に向けて進路を変えていたのである。
 そして、乗組員たちがたどり着いた惑星には、最強、最悪の恐怖が待ち受けていたのだった!
 言わずと知れた「エイリアンシリーズ」の記念すべき第一作!その後、数々の続編や前日譚が様々な監督の手によって製作されているが、やはり、この第一作のインパクトを超えることはできずにいるというのが僕の印象だ。
 まず、エイリアンの最強っぷりが半端ない。この映画が公開されるまで、様々なモンスター映画が公開されているが、エイリアンに対抗できるモンスターを紹介するのはさすがに難しい。(プレデターVSエイリアンなんて、企画ものの映画があったが、悲しすぎてみたことがない)。個人的には、後に紹介することになる「遊星からの物体X」の宇宙生命体が対抗しうるかも、と考えている。
 とにかく、卵の中を覗いている人間の顔に、幼虫が飛びつき口の中に入り込み、寄生、遺伝子レベルで宿主の特徴を取り入れ、最強の成虫として、宿主の体を突き破って飛び出してくるシーンは、ホラー映画史上に残るものだ。このシーンを初めて見たときは、驚きのあまり、笑って、そのまま笑顔がひきつった・・・。
 また、僕の記憶が確かなら、ヒロインが凶暴なモンスターと命がけで最後まで戦うという、フォーマットは、この映画によって確立されたのではないかと思う。守られるヒロインではなく、戦うヒロインの登場である。以来、この映画のシリーズはシガニ―をはじめ、戦うヒロインが受け継がている。
 閉鎖された空間の中で、いつどこから、現れるか知れない恐怖。ヒロインの荒い息遣いが見るものの恐怖感を煽っていく。
 CGなどなかった時代に、このクォリティのクリーチャーと特殊撮影で、映画館全体を閉鎖された宇宙船に変えてしまったこの映画。怖いもの見たさのあなたに、おすすめの一本だ!
          
         恐怖度指数的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月17日火曜日

「シックス・センス」夏におススメ!!サスペンス映画の最高傑作!

 1999年公開されたアメリカの映画。
 この映画の冒頭で「この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないでください」というメッセージが流される。幸福なことに、DVDで僕がこの映画を鑑賞するまで、僕の周囲の知人は、その約束を守ってくれた。おかげで、この映画のラストの大どんでん返しに、心行くまで驚くことができたし、脚本や演出の妙にも感動することができた。「猿の惑星」以来の、気持ちのいい「やられた~!」感に打たれ、ぐうのねも出ないとはこのことだと思わされたのだった。なのでストーリーについては、これから、この映画を見る機会を持つ方々のために伏せておくことに・・・。
 ただ、当時、「ダイ・ハード」シリーズの大成功で、アクション俳優というレッテルを貼られつつあったブルース・ウィリスが、小児精神科医を見事に演じ切り、役の幅を広げることになった作品と言えるが、相手役の天才子役に手柄を全部持っていかれた感があるのは否めないかも・・・。
 とにかく、暑すぎる日本の夏の真夜中に、鑑賞するにはおススメの1本である!!

          俺的第六感評価・・・・・☆☆☆☆

2018年7月15日日曜日

「ザ・ロック」新しいヒーロー!ニコラス・ケイジは、僕たちおじさんの希望だ!!

 1996年製作のアメリカ映画。
 テロリストが猛毒のVXガスを奪い取り、かつて「ザ・ロック」と呼ばれたアルカトラズ刑務所を占領。人質を取り、VXガスをロケットでサンフランシスコに打ち込むと、政府を脅す!この事態を収拾、テロリストを倒すために選ばれたのが、気弱な化学者スタンリー(ニコラス・ケイジ)と、かつて、唯一アルカトラズ刑務所から脱走した元MI6のメイソン(ショーンコネリー)だった。彼らの護衛とテロリストの制圧のため同行したアメリカ海軍特殊部隊は、あっという間にテロリストに倒されてしまう。残るは、ビビりのスタンリーとおよそ彼に協力しようとしないメイソンの二人・・・。刻一刻とテロリストが予告したロケット発射時間が近づく!果たして二人はサンフランシスコをテロリストの手から守ることができるのか!!
 DVDで鑑賞した作品。当時なけなしの貯金をはたいて、安い液晶プロジェクターと5.1サラウンドシステムを構築。僕の部屋は映画を見るためのスペースとなっていた。この環境で初めて見たのが、この映画。真っ暗にしなければしっかり見えない液晶プロジェクターとはいえ、大画面、しかも音響だけはサラウンド!銃撃戦やロケットが発射されるシーンは、迫力満点!自分の小さなアパートをプライベート映画館とした記念すべき第一作は、それにふさわしいものだった!
 まず、主演のニコラス・ケイジには、ちょっと面食らった。ハリウッド映画と言えばトム・クルーズに象徴されるようにイケメンで、最低限、髪の毛はしっかり生えているのが主役をやるもんだと思っていた。しかし、ニコラスは決してイケメンとはいえず、物語の設定上ではビビりだ。ところが、ショーンコネ―(こちらも加齢で髪の毛が・・・)というバディに助けられながら、ビビりなりに勇気を振り絞って戦っていく。
 とにかく、CGなどほとんど使われていない時代の、ハラハラドキドキのサスペンスアクション!手に汗握る興奮をお約束する!

       ニコラス・勇気をありがとう的評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月14日土曜日

「天使にラブソング」2より1が好き!中学校の先生は必見!

 僕は実は30年以上学校の先生をしていた。担任をやっていると、毎年頭を痛めるのが、合唱コンクールの指導である。合唱の練習では、大体、女子は一生懸命、男子は適当、という構図が生まれてくるのが常で、女子のリーダーが「先生、男子がれんしゅうしてくれません・・・」と泣きながら訴えてくるのが毎年のパターン。そんな時、秘密兵器として生徒に必ず見せる映画がある。25年も前に公開された映画、知る人ぞ知る『天使のラブソングを』である。
 映画の主人公は場末のショーで、無名のシンガーとして働く黒人女性である。ひょんな事からギャングに追われる事になった彼女が逃げ込んだのが、あろうことか「修道院」。もっとも彼女のキャラクターとは不似合いな「尼さん」としてすごす事になる。しかしこの修道院。あまり人気が無く日曜学校に訪れる信者の姿も少ない。そしてシスタークラレンスと名乗った彼女がこの修道院に、大きな福音をもたらすのだ。
 へたくそな賛美歌しか歌えない尼さんたちを再教育、そして賛美歌をバージョンアップし、すばらしい聖歌隊へと変貌させるのだ。彼女たちの歌を聞きに、多くの信者が訪れ、教会はかつてない賑わいを見せる。最後には噂を聞きつけたローマ法王まで訪れ、そのすばらしさにスタンディングオベレーション!シスタークラレンスはまさに寂れた教会と修道院を救う救世主となったのである。 
 説明は不要。とにかく、すばらしいの一言に尽きます。まだ見ていない、音楽の先生はまずいないでしょう。合唱コンクールで、生徒が乗らず困っている学級担任は、必ず見ましょう。学級を盛り上げるヒントが得られるかも・・・。
 ちなみに、映画の中で歌われる歌をそっくりそのまま文化祭で歌っている中学校はいまだに多いとか。パート2(荒れているハイスクールをシスタークラレンスが全米賛美歌コンクールで優勝へと導き立ち直らせると言うストーリー)も好評。刑務所でシスタークラレンスが活躍するというパート3の制作も噂されたが、いまだに完成されたという話を聞きません。制作されたら、是非みたいですけどねえ。

俺的中学校の先生が助かる映画評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月13日金曜日

「サトラレ」見た人は感涙確実!邦画のファンタジーに可能性を感じた佳作!

 2001年、公開された同名コミックを原作とした邦画。
 物語の舞台は現代の日本。しかし、「サトラレ」と呼ばれる一千万人に一人の割合で生まれる「異能力者」が存在する事が前提である。彼ら「サトラレ」はIQ180を超える知能を持ち、あらゆる分野で活躍する可能性を秘めた人類の至宝だったのだ。と同時に彼らは、その思考を周囲数十メートルにわたってテレパシーとして、飛ばしてしまう。そう、彼らの意志に関わり無く、彼らの「考え」「想い」「意志」が不特定多数の人間に漏れてしまうのだ。
 物語の主人公健一は、日本で確認された7番目のサトラレ。しかし、彼はサトラレがもっとも適していない職種、外科医を目指してしまうのだ。病状の守秘義務が大前提である医師。自分がサトラレと気づいていない健一。そして、健一の唯一の肉親である祖母が病魔に倒れた事によって、物語は大きな展開を向かえる。
 原作コミックを読んでいた自分は、アイディアに無理があるし、構想は洋画「トゥル-マン・ショウ」の焼き増しに思えたので、さほど期待していなかった。ゆえに、映画公開時は映画館に行くことなく、DVDで鑑賞する事になったのだが・・・。
 正直、映画を見てこんなに涙を流したのは、いつ以来だろう。ばあちゃん子として育った自分の胸は涙に溢れた。邦画を馬鹿にしていた自分だったが、ハリウッドがCGアクションに走っている今、このような物語が生まれた事は、邦画の新しい息吹を感じさせてくれた。みなさんににぜひとも見ていただきたい一本。とにかく感動を保障します。
 
        俺的邦画もなかなか頑張ってるよ評価・・・・・☆☆☆☆

2018年7月11日水曜日

「アバター」世界初の3D映画は、映画館を進化させた!!

 2009年に公開された、世界初の3D映画!キャッチコピーの「見るのではない!そこにいるのだ!」は3D映画のリアリティを謳っている。もともと、映画館は現実世界から抜け出して、非現実世界を体験できる場であったが、3D化によって、この疑似体験がより深化した。
 この「アバター」は3D映画という話題だけではなく、そのストーリーもまた秀逸だ。
 地球から遠く離れた星、パンドラ。この星は地球型の星であり、ナヴィ族と呼ばれる先住民族が、自然とともに幸せに暮らしていた。しかし、この星の地下に、地球のエネルギー問題を一挙に解決する鉱物が発見されたことから、地球人とナヴィ族の戦いが始まる!
 ストーリーは、アメリカの歴史を俯瞰するように描かれている。アメリカの先住民族とヨーロッパから移住してきた人々の構図がそのまま描かれている。
 また、クローン技術により作られたナヴィ族の人造身体(アバター)に意識を植え付けコントロールすることによって、ナヴィ族と平和的に交流を図ろうとする地球人もいることから、「ロミオとジュリエット」のようなラブロマンスが描かれており、この映画のストーリーを牽引していく核となっている。
 初めての3D映画体験は、最初こそ、メガネが気になって仕方なかったが、そのストリーや世界観に引き込まれて、いつの間にか気にならなくなっていた。異世界の植物の種子の輝きが、目の前で触れられるほどに感じたり、あたかも自分が、空飛ぶ鳥にのって大空を駆け巡る体験をしたり・・・驚きは数えきれない。とにかく、映画界に革命を起こした超大作であることは間違いない!
 残念なのは、3Dシステムのある映画館でなければ、この映画の魅力が半減してしまうことで、DVDで気軽に家で再現することは不可能なのだ。「アバター」が公開された時期は、3Dテレビがどの電気店にも置かれていたが、今はもう鳴りを潜めてしまっている。

           俺的3D評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月10日火曜日

「シン・ゴジラ」新生ゴジラは最強!庵野節炸裂の群像劇が面白い!!

 初代ゴジラから数えること29作目となる東宝製作のゴジラ作品。監督はあの「エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督だ!
 この作品で特筆すべきところは、ある意味での「原点回帰」。これまでのゴジラシリーズは1954年に制作された初代ゴジラの続編として作られてきた。つまり、「ゴジラ」はすでに日本にとって脅威の存在だったり、時には宇宙怪獣から地球を救うヒーローとして描かれてきた。庵野監督はこの流れを踏襲せず、初めてゴジラが現れた初代ゴジラと同様のスタンスで、脚本を仕上げている。そのため、初代ゴジラが原水爆実験に警鐘を鳴らしたように、シン・ゴジラは3.11の東日本大震災における原発事故に警鐘を鳴らしているのでは?という印象を強く与えるシリアスなものに仕上がっている。つまり、「もし、巨大な危険生物が都心に現れたら?」というシミュレーションをもとにストーリーが練られているため、ゴジラはあたかも激甚災害のような存在であり、この映画の主人公はゴジラから日本を守ろうとする「人間」である政治家や官僚、自衛官たちなのだ。
 僕は正直、これまでゴジラ映画を劇場に金を払ってまで見に行こうと思ったことはなかった。しかし、監督が庵野さん!?となれば話は違う。あの「エヴァンゲリオン」の庵野監督が、しかも日本のみならず世界中にファンを持つゴジラをフォーマットとした映画を作った、となればエヴァファンとしては見ずにはいられない!結果、期待以上のゴジラ映画の誕生に、感動の涙!まだ見ていない日本人にはぜひ、見ていただきたい至高の一本だ!

       俺的、今度はウルトラマン作ってね評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月9日月曜日

「ディープ・ブルー」進化したジョーズは冷酷で恐ろしい!アニマルパニック映画の最高傑作!

 1999年アメリカ映画。
 かつて、スティーブン・スピルバーグを一流監督の地位に押し上げた海洋パニック映画「ジョーズ」。その後、様々な形で続編や、類似した映画が作られてきたが、世紀末に誕生したこの「ディープ・ブルー」は、「ジョーズ」をリスペクトしながら、それを超えようとしたスタッフの熱い情熱が感じられる傑作に仕上がっている。
 主人公はアルツハイマー病を研究する医学博士スーザン。彼女は人間に近い、脳の構造を持つアオザメの脳を遺伝子改良することで、アルツハイマー病の治療薬の開発に取り組んでいた。しかし、サメの脳の発達がスーザンの予想を大きく上回ったとき、サメは人間にとって最も恐ろしい敵に成長していたのである。海上に作られた研究施設は、協力することを知った三匹のサメたちによって、破壊され、逃げることの許されない恐怖の牢獄へと変貌する・・・・・・。
 この映画で特筆すべきことは、サメが遺伝子操作によって、賢くなっているということである。海上に浮かぶ人工島の研究施設を、三匹のサメが破壊し水没させることによって、人間を自分たちの縄張りへと引っ張り込んでいくのだ。サメが襲ってくるシーンはまさに「ジョーズ」を彷彿とさせる。いつどこから、襲ってくるかわからない・・・その怖さが見ているものたちをハラハラドキドキさせるのである。
 残念ながら、僕はこの映画を劇場で見ることができなかった。後にDVDで見ることになるのだが、この映画こそ、劇場の大きなスクリーンと臨場感あふれる音響設備で観たかった。そう思わせる傑作の一つである。

             俺的デートムービー評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月8日日曜日

「THIS IS IT」踊れ!叫べ!マイケルは僕らの永遠のヒーロー!

 1980年代に、高校・大学と青春期を迎えた僕は、まさにバブル世代だが、この時期は日本にとって「洋楽ブーム」でもあった。洋楽ベストテンをファンキーに伝えるテレビ番組や、ラジオ番組がいくつもあり、とりわけその中で紹介される海外のアーティストのプロモーションビデオ(PV)は、さほど洋楽に興味のない田舎者の僕さえもわくわくさせてくれた。これらたくさんのPVの中で、当時の日本人を虜にしたのが、マイケル・ジャクソンの「スリラー」だ!狼男やゾンビがマイケルを「センター」に、歌い、踊る映像はPVと言うよりは、完成度の高い一本の映画と言ってもいい。
 また、2018年の現在は、空前の学生ダンスブームであり、モーニング娘。やAKBなどのグループアイドルのダンスが毎日、テレビの電波やネットの動画を席巻していることは言うまでもないが、この一人のセンターを中心に、歌い・踊るスタイルはまさしくマイケルから受け継がれたものではないだろうか?その意味で、今の若者たちは、知らずにマイケルの影響を受けているのだ。
 そんな僕らのヒーロー、マイケルが亡くなってからもうすぐ10年がたとうとしている。生前、彼は病魔やスーパースターであるがゆえに多くのトラブルを抱え、音楽活動を断念していたが、亡くなった2009年、復活を賭けたコンサートツアーを計画、その成功のために病魔と闘いながら、リハーサルを重ねていた。このコンサートツアーこそ「THIS IS IT」だった。
 しかし、多くの人が知るようにこのコンサートは、マイケルの急死によって、中止を余儀なくされる。世界中の人々が嘆き、悲しむ中、マイケルのコンサートスタッフがリハーサル映像や、共演者のインタービューを編集し、映画として発表したのが、映画「THIS IS IT」だ。この映画がマイケルの想いをどれだけ観客に伝えきれたかは、わからない。しかし、スクリーンで踊る彼は、時に鋭く、時に優雅に、そして間違いなくカッコいい、僕らのヒーローだった。
  
          マイケル・ジャクソンに愛をこめて・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月7日土曜日

「タイヨウのうた」YUIの演技がとてもピュア!難病ものの新しい答!?

 2006年公開された、シンガーソングライターYUIの女優デビューとなる映画。
 主人公「雨音 薫」はXPと呼ばれる難病を抱えていた。太陽の光にさらされると、皮膚疾患や神経障害が徐々に身体を侵していく治療法のない病気で、薫は太陽の出ている昼間は日の光が入ってこない部屋で静かに眠り、夜になると目を覚ますという日常を送っていた。そんな薫は、夜になるとギターを抱えて、町の小さな駅へと出かけていく。駅前の広場に腰をおろし、アロマキャンドルを灯すと、ギターを手にする。ギターの響きに合わせて、薫の細く切ない声が、静かに、しかし、確かな息吹をともなって広がっていく・・・。
 こんなオープニングで始まる「タイヨウのうた」は日本映画に多い、難病もののラブストーリーの王道である。ただ、ストーリーの最後は悲しさの中に、すがすがしさと主人公の周囲の人々に確かな何かが残されたことを実感できることが、他の悲恋映画との違いを明確にしているように思う。
 この映画で、演技に初挑戦しているYUIの演技は、正直、つたない。そのつたなさが、初めて人を愛した女の子のういういしさを感じさせるものとなっており、とてもかわいい。彼女の透明感のある声と、疾走感のある歌が、短いが確かな青春と初恋のはかなさを訴えかけてくる良作である。
 ちなみに、前後してドラマ版がエリカ様主演で放送されているが、僕はこちらの方はみていない。また、2018年、ハリウッドでリメイクされた「ミッドナイト・サン」が公開予定である。

             俺的YUI評価・・・・・☆☆☆☆

2018年7月6日金曜日

「ミッション:インポッシブル」チームでミッションをやり遂げる第1作が1番好き!

  ご存じ、トムクルーズのヒットシリーズ!なんと第1作は1996年製作で、今年2018年は新作の第6作が公開されるロングヒットシリーズとなっている。
 僕は、大昔のTVシリーズ「スパイ大作戦」が大好きだった口なので、第1作を映画館で鑑賞し、「君、もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないので、そのつもりで。」のメッセージを大画面で聞いた時には、ちょっとだけ身震いした。
 このシリーズは、トムクルーズが体を張ってミッションに取り組むアクションシーンがどれも秀逸で面白い。しかし、チームの一人ひとりのキャラクターを生かしながら、ミッションに取り組んでいく第1作のストーリーが、かつてのTVシリーズを彷彿させ、もっともわくわくさせられる。チームはそれぞれが何かのエキスパートであり、それぞれがかっこいい。トムクルーズ演ずるイーサンは、言ってみればアクション(?)・現場担当。あの、天井から吊り下げられながらの工作活動は象徴的なシーンだろう。まさに「スパイ大作戦」であり「ミッション・インポッシブル」!
 第2作以降は、トムクルーズのアクションシーンだけがクローズアップされている感があるのが、僕としてはちょっと残念。一人のヒーローが超人的に活躍する映画は、他にいくらでもあるので、「ミッション・インポッシブル」だけは、みんなで力を合わせて・・・にこだわって欲しかった。

             俺的スパイ評価・・・・・☆☆☆☆

2018年7月5日木曜日

「小さな恋のメロディ」見ればきっと、甘酸っぱい記憶がよみがえるはず・・・

 1971年公開のイギリス映画。
 規則の厳しい学校で11歳の主人公、ダニエルは、ある日女の子のバレエの授業を窓越しに盗み見る。大きな瞳と長いまつ毛の少女から、ダニエルは目が離せなくなる。彼女の名前はメロディ。ダニエルの初恋の始まった瞬間だった。
 僕がこの映画を見たのはまさにダニエルと同じ年頃。テレビの画面でだった。それ以降、テレビで再放送があるたびに、見てきたが、僕の記憶が正しければもう数十年、テレビで放映されていない。だから、映画のストーリーは断片的にしか思い出せない。
 二人が学校の校則や友人関係、そして家庭環境に傷つきながら、お互いを慰め合い、その距離を次第に近づけていく。とりわけ印象的なのは、行き場を失った二人が、肩を寄せ合い、カバンを頭に乗せ、雨宿りをしているシーンだ。
 後で知ったことだが、この映画は本国イギリスや、アメリカでは全くヒットせず、もっともヒットしたのが言葉も文化も違う、日本だったという。
 映画の再放送はなくなったが、ビージーズが歌うこの映画のサウンドトラックは、日本のテレビ番組で、今もおりに触れ、流され続けている。異国で作られたこの映画は、日本の初恋を象徴する映画になったのだ。

                  俺的初恋評価・・・・・☆☆☆☆☆

2018年7月4日水曜日

「ルパン三世 カリオストロの城」ヒロイン・クラリスに中二病患者が続出!?

 アニメファンにとっては言うまでもなく「宮崎駿 監督」の初監督作品である、名作アニメ「ルパン三世 カリオストロの城」。
 国営カジノから、まんまと大金を盗み取ったルパンと次元。しかし、その札束はすべて「幻の偽札 ゴート札」だった。その謎を解き明かすため、ルパンたちはカリオストロ公国へと侵入するが、そこで出会ったのが、この物語のヒロイン・クラリスだった。カリオストロ侯爵の謀略のため、無理やり結婚を強いられるクラリスを助けるため、ルパンたちの命がけの戦いが始まる!
 もちろん、物語にはルパンシリーズ特有のコミカルなアクションシーンが満載。冒頭のカーチェイスシーンを見たディズニー映画の関係者は「これはすごい!」と驚いたとか驚かなかったとか。また、ルパンがクラリスの閉じ込められている城に侵入するシーンは、宮崎監督ならではの演出がふんだんに盛り込まれている。
 何より特筆すべきは、「クラリス」の美しさと可憐さと強さ!僕はこの映画を高校生(男子校)の時に初めてテレビで見たのだが、翌日は、クラリスの素晴らしさを語る男子高生でいっぱいになってしまった。「ああっ、こんな子がいたらなぁ・・・」そう妄想したのは、僕一人ではあるまい。すっかりおじさんになってしまった今では「おじさま!」とクラリスに呼んでほしい!・・・すみません。妄想が過ぎました。
 しかし、残念ながら「カリオストロの城」は興行的には惨敗。前作の映画「ルパン三世VS複製人間」を大きく下回ってしまう。加えて、ルパンシリーズに一貫していたお色気シーンや金のためにはどんな危険にも立ち向かっていくという、ルパンのキャラクターが色をひそめていたため、一部、評論家から叩かれてしまった、という噂もあった。
 ところが、「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」がそうだったように、初期の評判が悪いものほど、本当のファンたちが徐々にムーブメントを巻き起こしていくのが日本のアニメである。「カリオストロの城」はテレビで再放送を重ね、ファンたちの呼びかけで自主公開が実施されるなど、大きなブームを巻き起こし、宮崎駿監督の名を不動のものにしていくのである。
 もっとも、宮崎監督自身は「カリオストロの城」の興行的な失敗をきっかけに、ルパン三世のTVシリーズの第2シーズンの最終回を最後に、テレビアニメの表世界からは姿を消してしまう。アニメ界から距離を置いて彼が取り組んでいたのは、やがてアニメ映画の名作となる「風の谷のナウシカ」の漫画連載だったのだ。あの「スタジオ ジブリ」の種を撒いたともいえる名作中の名作だ!

         おじさま的ロマンティック評価(5段階評価で)・・・・・☆☆☆☆

2018年7月3日火曜日

「スピード」最初から最後まで!ぎりぎり限界のポリティカルアクション!!

 「ダイ・ハード」シリーズが日本でもヒットしていたころ、それを超えるノンストップアクションが公開された。それが、キアヌ・リーブス主演「スピード」だ。
 爆弾魔であるテロリストと、キアヌ演じる主人公のスリリングな戦いを描く。オープニングのエレベーターからの人質救出から始まり、僕はまばたきさえ忘れて心をわしづかみにされてしまった。ドラマの中核となるのは、時速80km以下に減速すると爆発してしまうバスに乗り込み、人質を救おうとする主人公と爆弾魔の心理戦や高速道路上の激しいアクション。今なら、CGでさらっと描くようなシーンに、演じる役者やスタントマンの確かな熱い息吹を感じる。もしかしたら、CG全盛の現在、これを超えるアクション映画は作られないかもしれない?これも、大画面で見てこそ、より魅力が伝わる映画だ!
    
                 俺的アクション評価(5段階で)・・・・・☆☆☆☆☆

「猿の惑星」 旧作こそが、真の名作!!

1968年。驚くべき映画が公開された。旧「猿の惑星」である。
宇宙探査のために冷凍睡眠で亜光速宇宙船に乗っていたメンバーが、見知らぬ惑星に不時着する。水も空気もあるこの惑星は、メンバーにとって地球がたの惑星を発見するに至った大発見であった。しかし、この星は知能が低下した「人間」を言葉をしゃべる「猿」が支配する恐怖の惑星だった・・・。
 このような導入部から始まるSF映画の金字塔「猿の惑星」。実は、僕の初めての映画体験だったのだ。といっても、小学生の時に家のテレビで見たので、映画館デビューというわけではない。しかし、テレビの小さな画面の中でも、知的な猿の特殊メイクに驚き、人間が家畜のような扱いを受けるストーリーにビビりまくり、スリリングな展開につばを飲み込みながら画面にくぎ付けになった。そして、あの「大どんでん返し」のラストシーン!こんなすごい物語を考える人がいるんだ!この2時間余りの体験が、その後、僕を大の映画ファンにしてしまったのはまぎれもない事実だ!
 その後、様々な形でリメイクされているこの作品だが、一作目を超えることはできないでいるのではないだろうか?
 できれば、おじさんになった今こそ、映画館の大画面で見たいものだ・・・。

            俺的SF評価・脚本(5段階で)・・・・・☆☆☆☆☆